愛犬家、愛猫家の皆さんこんにちは、ぽんこです。
普段は田舎町の地域に根ざした動物病院で獣医師をしています。
犬と猫の爪切りが簡単に家で出来るといいなぁと思うことはありませんか?
どこをきったらいいか分からない、家だと暴れてしまう、出血したら怖い、
などの不安から動物病院やトリミングサロンにお願いしているご家族の方も多いと思います。
この記事では、爪を切る位置や血管や神経の走行から解説していますので、それらを把握しておくことで自信をもってできるはずです。
できるだけ痛みや違和感を感じさせないようにするには、切れ味の良い爪切りを使ってあげることで解決できる場合もあります。
そして、万が一出血してしまったときに備えて絶対に用意しておいてほしいアイテムを紹介します。
では、いっくよー!♡
血管と神経はどうなってる?
犬と猫の爪の形は若干違いますが、中の構造はだいたい同じと思ってください。
ひとつ違う点をあげると、伸びたときにどうなるか?ということです。
犬の爪は切らずに放置していると血管が少しずつ伸びてきます。そして血管と一緒に神経も伸びてくるのです。そうなると少し切っただけでも血が出て痛みが生じ、最終的にあまり切れない爪になってしまいます。
一方、猫の爪は血管と神経が内部で伸びてくることはほとんどありません。そのかわり、先端が鋭利に尖った爪が伸びてくるので、巻き爪となり肉球に刺さってしまいます。高齢の猫は爪とぎをする機会も減るので気を付けましょう。
では、爪の内部はどうなっているのでしょうか?
犬の爪
この図の赤が血管です。神経は色がついていないので見えません。血管と神経は並んで走っているので、血管を目印にして切っていきます。
白い爪は、この図のように外からでも血管がどこまで走っているかが見えるので簡単ですね。
黒い爪は見えなくて難しいので、青と緑、それぞれのカットラインでの断面図で見極めていきます。
青のカットラインでは中心部はほとんど何もありません。
しかし、緑のカットラインのように血管に近づくと透明の柔らかそうなものが現れます。
そこから1~2㎜いくと血管なので、透明の部位に到達したらそこで終わりです。
一気に切ると透明なものを通り越して血管になるので、少しずつ切っていってください。
1本切ってみてだいたいの位置が分かったら、他の爪もそのカットラインに合わせて切ってあげてOKです。
猫の爪
猫の爪は犬と違って、先が非常に鋭利です。
犬の爪と比べてみると分かるように、爪が伸びても血管はさほど伸びてくる印象はありません。そしてほとんどの猫が白い爪をしていますので、血管もきれいによく見えます。
青いカットラインで示した通り、カーブしているところに合わせて切ると血管は当たりません。
犬と違い、とにかく爪が急カーブをしたまま伸びてくるので、巻き爪には要注意です。
切れ味の良い爪切りを選ぼう!
爪の構造が理解できたらいよいよ実践です。
爪切りといっても種類がたくさんあってどれがいいのか分からないという方は、とにかく切れ味と扱いやすさで選ぶことです。
また、形状も様々でギロチンタイプ・ニッパータイプ・ハサミタイプなどそれぞれ良いところがあります。
私は今まで色々な爪切りを使用してきましたが、その中でいちばん切れ味が良かったもの、音も比較的静かな(実はこれが結構重要だったりする、、笑)爪切りをいくつか紹介しますね。
ニッパータイプ:超初心者向け!直感的に扱える<ロゼンスター>『PE-015』
初心者はこの形状がやりやすいかなと思います。ニッパーを扱うように手のひらで握って使用するのですが、このグリップが小ぶりでややカーブをしているのが特徴で、特に女性の方だとフィット感は抜群です。
爪を挟む穴も見やすいので、何も考えずに直感で出来ます。
ギロチンタイプより切れ味は劣りますが、グリップが扱いやすいという点ではしっかり力が入るので、そこまで気になりません。
肝心の音ですが、大きな音はならないものの、「パン!」と少々高い音が鳴るので苦手なわんちゃんや猫ちゃんもいるかもしれません。
何しろ値段は安いので、これから始めてみようという方には挑戦しやすいと思います。
まずはお試しとして購入してみてはいかがでしょうか?
ハサミタイプ:子犬や子猫はこれでOK!<woaix>『Pet Nail Clippers』
ハサミタイプは安全性こそダントツですが、切れ味はそこまで良くないので成犬の硬い爪を切るのには適していません。
子犬や子猫を抱っこしながら切るのにちょうどいいでしょう。
ハサミタイプのほとんどが持ち手の穴が小さいものが多く、男性陣はかなり扱いにくいものが多いです。
そんな中で、比較的穴が大きめで扱いやすいのがコレ。
海外製がゆえ穴が大きく持ちやすい。
実際うちも子犬の時期はこのハサミタイプでちまちま切ってあげていました。
商品名は『Pet Nail Clipper』ですが、Amazonや楽天ではなぜか『犬の爪切』や『猫の爪切』といった直球のネーミングで販売されているようです。
値段も500円前後で、子犬や子猫の時期だけでも使う価値はありそうですね。
ギロチンタイプ:抜群の切れ味!音も静かで扱いやすい<廣田工具製作所>『斬』
さて、ここまで引っ張りましたが結局のところ私がいちばんおすすめしたいのが、このギロチンタイプの『斬』です。
廣田工具製作所という工場で製造されていることもあり、とても切れ味がよく、音も静かで動物がびっくりしません。さすが、『斬』というネーミングなだけありますよね。
切れ味が抜群で、穴に爪をしっかりはめ込んでバチンと切るので、実はこれ、プロのトリマーや動物病院で使われることが多い商品です。
しかし、素人の方でもコツをつかんでしまえば痛くもなければ音にびっくりすることもないので、スピーディーに終わらせてあげられますよ。
値段はそこそこしますので、初心者の方はニッパータイプで慣れてから次のステップで検討するといいですね。
出血への対応
爪切りでの出血はよくあることです。慌てる必要はありません。
プロのトリマーでも、獣医でも、出血させてしまうことは日常茶飯事です。
とはいっても、自宅でいざ出血してしまったらわんちゃんは痛がって触らせてくれないし、血はなかなか止まらないしで焦りますよね。
こんな時に備えて、爪切りを購入するときに一緒に揃えておいてほしいのが、止血剤の『Kwik Stop』です。
これがあれば一発で血は止まります。むしろこれがなければ、たかが爪であれ一度出血させると結構な量の出血になってしまいます。(これが原因で貧血にはなりませんが、、)
同じような謳い文句でだいぶ安い商品がありますが、全然だめです。さらさらしすぎて全然止まりが悪いです。ゆえに、止血剤は『Kwik Stop』これに限る! なんか良い湿り具合で爪にフィットしてガツッと止めてくれるイメージ?(笑)使ってみないと分かりませんよね。。
ここまで読んでみてどうでしょうか?少しでも自信をもって自宅でのケアができるようになると幸いです。
そして、病院での爪切り代を節約し、おいしいおやつを買ってあげてくださいねっ♡